衣川晃弘大先生の見聞会講話集「21世紀を幸せに生きる」第8巻より
2015年(平成27年)9月21日 ベストグループ東北地区見聞会 ②
家族、兄弟の不仲は多くの家庭で見られます。しかし、世の中のことから比べたら、大した問題ではないと思います。世界で今、苦しんでいる人達に比べると、あなた方の悩みは小さいと思います。
私の今までの悩みも小さいものだったと思います。事業家時代、四十一歳の時に会社が潰れかけて、数十億円の会社のお金を無くし、何千名も働いて下さる方々が辞めていくことを経験しました。その中から立ち上がる苦しさは並ではありませんでした。しかし、本当に良い勉強をさせて頂きました。
会社が潰れかけた時こそ、色々な問題が起こってくるのです。その問題を乗り越えさせて頂く中で、力がつきました。人間は何か問題があるからこそ、強い人間になるチャンスになるのではないですか。あなた方は、今まで自分自身の問題を乗り越える努力をしてきたと思うけれど、自分を高める努力をしてきたのですか。自分を成長させようと努力をしたのですか。人格を磨く努力をしたのですか。私はあなた方に問いたいのです。私も四十一歳の時に会社が潰れかけなければ、ここまで成長しなかっただろうと思います。
皆、一生懸命に働いているのです。しかし、「働いても我が暮らし楽にならねど」という方もいます。私のように、働いてたくさんの財を持った方もおります。そして、二、三年で無くした方もおります。お金を無くする苦しみ、人間の肉体を無くする苦しみ、家族を無くする苦しみは確かに大きいものです。無くするものが大きければ大きいほど、苦しみも大きいと思いませんか。しかし、苦しみが大きいからこそ、人間が強くなるチャンスを与えられたのではないでしょうか。これが私の物の考え方なのです。私は人と少し違う見方をします。
私は何かがある時こそ、人格を変えるチャンスを頂いたと思っています。色々な問題が起こる時こそ成長するチャンスを頂けたと、本当にそう思って努力をしてきた一人かも知れません。苦しいから逃げる人と、苦しい時に「どうしてこのようなことが起こったのか」と捉える人と、色々あると思うのです。
インドは物質的に貧しい国です。私は二十一年間で百回以上インドへ行かせて頂き、滞在は二千日くらいしてきました。私はずっと発展途上国を見てきましたが、物質的に貧しくても、本当に心が素晴らしい方をたくさん見てきました。
では、物質的に豊かだから人間が素晴らしいのでしょうか。心が豊かな人はやはり多くの人から支持され、支えられています。物質的に豊かでも精神的に貧しい方は、一時的に豊かですが、敗れていく人をたくさん見てきました。心が貧しい人は一時的には良くなっても、必ず敗れ去っていきます。でも、心が豊かな人は物質的にも豊かな方もたくさん見てきました。本当に心が豊かな方は、物質的に貧しくても心が揺れないのです。
人間はお金に意識を向けると、善くない心が出るのです。しかし、お金が悪くはないのです。「お金を得たい」と思う心が汚い心を出すのです。ですから、お金の大小にかかわらず正しく生きることができるようになれば、素晴らしいと思います。
お金が入る方をよく見ると、人格的に素晴らしい方は、継続してお金が入ってきているように思います。アメリカでは、成功者は財団法人を作られて、皆様のためにお金を使われる方もおられます。人格的に優れない方は、私のように会社が潰れかけるという経験をするのです。
つまり、人格の表れが仕事の表れではありませんか。どうしてそのことに気づかないのですか。仕事ができない方をよく見ると、人間性がネガティブで、否定的な方が多いようです。仕事ができる方を見ると、肯定的で、プラス思考で、何か問題があってもそれを乗り越えるような方々が多いようです。私はその両方を経験しています。私は今までに何十万人という方をずっと見てきました。社会的に地位名誉を得た方は、初対面でも深々と頭を下げられます。やはり人間性の素晴らしい方は、多くの人からも支えられるのだろうと思います。
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